こんにちは。
ボディメイクスタジオ いのラボ 近江店の西潟です。
今回はジョイント・バイ・ジョイント理論を
体幹部のトレーニング種目に応用させて
お話していきたいと思います。
トレーニングやスポーツの話の中で、
よく「体幹が重要」という話が出てきます。
普段、運動に触れない方も
一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
「体幹」というものがどのようなことを指すかは
議論されることもありますが、
今回お話をする中では
首から腰付近のことを指しています。
この「体幹」がどのように重要であるか
話していきます。
■背骨がすべて関節
体幹部にある関節部分は、
「頸椎(=首)」
「胸椎(=胸の背骨)」
「仙腸関節および腰椎(=腰の背骨)」
の3つになります。
まずは、この3つがどのようなものか
説明していきます。
「頸椎」「胸椎」「腰椎」は
まとめて「脊柱」と呼ばれ、
いわゆる“背骨”のことを指します。
その背骨と骨盤との接続部分の「仙骨」と
その両側に付いている「腸骨」との境目を
「仙腸関節」といいます。
図.脊柱(引用:weblio辞書 「脊柱」の意味や使い方 わかりやすく解説)
今回、話の中に出てくる“関節”は、
これらは前回までの計2回のブログで
ご紹介してきた関節とは違い、
それぞれの“グループ”として
考えたほうがいいかもしれません。
というのも、
例えば、「頸椎」と呼ばれるものは
7個の「椎骨」という骨が積み木のように
積み重なったもの全体のことを指すことが多く、
ここでいう“頸椎の関節”とは
その椎骨と椎骨との境目のことを言います。
椎骨が7個あるので、関節も7つ存在し、
7つ全てを1つの“グループ”として
「頸椎」と言うことが多いです。
同じように「胸椎」は12個の椎骨、
「腰椎」は5個の椎骨から作られていますので、
関節もその分あることになります。
また、「仙骨」と「腸骨」は
“骨盤”をつくるパーツの1つとされており、
くっついている箇所を関節とし、
「仙腸関節」と呼んでいます。
■形が違えば、動きが違う
「モビリティ関節」と「スタビリティ関節」の
役割分けについてですが、
「頸椎」のみを「上位頸椎」と
「下位頸椎」に分けて考え、
「上位頸椎」と「胸椎」は「モビリティ関節」、
「下位頸椎」と「仙腸関節および腰椎」は
「スタビリティ関節」に分けることができます。
この「上位頸椎」と「下位頸椎」ですが、
頸椎は上2つの椎骨と下5つの椎骨の形に
それぞれの特徴が違うため、
関節の動き方も違い、
役割分けも異なっています。
まず、「モビリティ関節」の「上位頸椎」ですが、
顔を振り向くように動かす「回旋」という動きが
特に大きく動く関節になります。
この「回旋」をメインとしたトレーニングは
ほとんどありませんが、
スポーツの動きとして、
「周囲を見ながら動く」というような動きに
とても重要になってくるので、
モビリティ関節に分けられていると考えられます。
一方、「スタビリティ関節」に分けられている
「下位頸椎」ですが、
首を前後に動かす「屈曲-伸展」、
横に傾ける「側屈」、
振り向く「回旋」の
3つの動きはそれぞれ動かせることができます。
しかし、安定性を求められる
スタビリティ関節に分類される理由としては、
脳がある頭部への衝撃を減らすことと、
脊髄の損傷を避けるためだと考えます。
脳は頭蓋骨の中で髄液に浸って浮いているため、
動くたびに頭がフラフラしていては
脳も頭蓋骨の中で揺れてしまいます。
また、頸椎の後ろには「頚髄」が通っており、
頸椎が大きく動きすぎてしまうと
その頚髄を椎骨同士で挟んでしまい、
傷をつけてしまいます。
このようなことは脳から体へ
信号が送る機能を低下させたり、
最悪、止めてしまったりすることになるので、
頸椎が安定することでその機能を
守っていることになります。
もう一つのモビリティ関節である「胸椎」ですが、
下位頸椎と同じように「屈曲-伸展」、
「側屈」、「回旋」の
3つの動きをすることが可能です。
胸椎の動きは、
間接的に腕の動きにも関係してくるものが多く、
中でも「回旋」の動きは、
胸椎の動きの中で最重要ではないかと考えています。
なぜなら、後述もしますが、
胸椎の下に位置する「腰椎」が
ほとんど回旋の動きをしないからです。
もし、胸椎も回旋できないと
腕を後ろに回したり、腕を振りながら歩いたり
というような動作が出来なくなってしまいます。
このようにならないためにも、
モビリティ関節として可動域を
保たなくてはいけない部分になります。
最後にスタビリティ関節である「腰椎」ですが、
「屈曲-伸展」、「側屈」の動きはありますが、
「回旋」の動きは非常に小さいのが特徴です。
これは腰椎の椎骨の形が影響しているためです。
また、「屈曲-伸展」、「側屈」の
動きがある部位ではありますが、
腰椎は脊柱全体の一番下に位置しており
荷重がもっともかかる場所のため、
姿勢によっては脊髄や神経根を
傷つけてしまうことにもなります。
このようなことから腰椎は運動中、
安定性を保つことが求められます。
■”胸椎”はいろいろ動く
では、実際の運動では
どのように応用できるでしょうか。
「上位頸椎」と「下位頸椎」ですが、
上位頸椎の説明の時にも書きましたが、
主にスポーツを行なう際などで重要になってきます。
上位頸椎は、「周囲を広く見渡す」ときや
「一つのものを見ながら体を動かす」ときに
主に回旋の動きが重要になってきます。
下位頸椎は、身体が様々な動きをする中で、
約5㎏ある頭部をふらつかせずに適切な位置に
保っておくことが求められます。
次に「胸椎」ですが、
いろんな方向の動きが可能ということもあり、
様々な種目にて重要となっています。
ローイング種目(主に背中を鍛える引く運動)では
肩甲骨の内転を促すための胸椎の伸展、
腹筋種目では胸周りを丸めるための胸椎の屈曲、
片手で押したり引いたりする種目では
“押し切る”“引き切る”ための回旋などです。
最後に「腰椎」ですが、
バック・スクワット
(バーベルを担ぎながらのスクワット)では
鉛直方向に荷重がかかりますが、
腰を痛めないことはもちろん、
脚の力をしっかりとバーベルに伝えるためにも
腰椎が適切な形で保たれている必要があります。
このように、体幹部の関節は
メインとしてというよりは
補助的に動く部分ではありますが、
より効果的な運動にするためには
重要な部分ではあります。
私たちいのラボでは、
実際に鍛える部分だけではなく、
様々な面からより効果的な運動を
お伝えできるように準備しております。
ぜひ、私たちと一緒にトレーニングしてみませんか?